
■はじめに
ランサムウェアの攻撃手法は日々進化しており、
「とりあえず対策ソフトを入れておけば安心」という時代は終わりつつあります。
特に中小企業や、専任のセキュリティ担当がいない現場では、
・製品は入っているのに運用が回らない
・アラート対応に追われて、本来やるべき業務に手が回らない
といった課題が目立ちます。
この記事では、
・なぜ“導入して終わり”の対策では不十分なのか
・EDR・MDRそれぞれの特徴と限界
・専任不在の現場が抱えがちなリアルな悩み
・そのうえで、現実的に続けられる“運用まで任せられる”選択肢
を整理していきます。
■ランサムウェア対策は“導入して終わり”ではない
近年、ランサムウェアの攻撃手法は高度化し、
・ネットワーク内に侵入した後、社内の他端末へ感染を広げる
「横展開(ラテラルムーブメント)」
・重要情報や重要サーバーだけを狙い撃ちにする
「標的型攻撃」
が増加しています。
従来のウイルス対策ソフトは、既知のマルウェアを検知・駆除するには有効ですが、
こうした侵入後の巧妙な動きを捕まえるには限界があります。
現在のセキュリティ対策に求められているのは、
「侵入を防ぐ」だけでなく、
「侵入後の挙動を素早く検知し、迅速に対応する」こと。
つまり、ランサムウェア対策とは
“インストールして終わり”ではなく、
“常時監視し続ける体制”が不可欠だということです。
■EDRとは?進化したセキュリティの“目”となるツール
EDR(Endpoint Detection and Response)は、
企業の端末やサーバー上で行われる動作をリアルタイムに監視し、
不審な挙動を検知・記録するソリューションです。
特徴としては、
・未知の脅威やゼロデイ攻撃
・内部不正や不審な権限昇格
・横展開の兆候 など
従来のアンチウイルスでは見逃しがちな動きも捉えられる点が挙げられます。
特に、
・脅威発生時の前後の挙動を**「可視化」**できる
・過去のログをもとに**「原因調査(インシデント解析)」**が可能
といった点は、EDRならではの大きな強みです。
一方で、その反面として、
・アラートの数が多く、すべてを人手で確認するのは困難
・どのアラートを優先すべきか判断するには専門知識が必要
といった課題もあります。
その結果、セキュリティ専門の担当者がいない企業では、
「EDRを入れたものの、アラートが多すぎて結局活かしきれない」
「結局、何をすればいいのか分からない」
という状況に陥りやすくなります。
■MDRとは?専門家による“監視と対応”がセットになった安心のサービス
そこで登場したのが、MDR(Managed Detection and Response)です。
MDRは、EDRなどの検知ツールをベースに、
外部のセキュリティ専門家が「監視・分析・対応」まで一括で代行するサービス
です。
具体的には、
・アラートの分析と優先度の判断
・初動対応のアドバイス(どこを止めるか、何を優先するか)
・封じ込めの提案や復旧支援
などを、セキュリティのプロが担ってくれます。
これにより企業側は、
・「わからないこと」に悩み続ける時間を減らし
・現実的なリスク対応に集中できる
というメリットがあります。
ただし、MDRには次のような注意点もあります。
・サービスごとに対応範囲・連携方法が大きく異なる
・どこまでやってくれるか、契約範囲をしっかり確認する必要がある
・監視・対応まで含むため、EDR単体に比べてランニングコストが高くなりがち
特に中小企業にとっては、
「セキュリティは強化したいが、費用的に続けられるか不安」
という点が、導入をためらう大きな要因になっています。
■中小企業や専任不在の現場が抱えるリアルな悩み
実際の現場の声をまとめると、次のような悩みが多く聞かれます。
・「EDRを導入したはいいが、毎日のようにアラートが届き、その都度の確認に追われている」
・「MDRを検討したいが、コストがネックで踏み切れない」
・「自社だけで複雑な運用・連携を整備できるか不安」
さらに、
・社内のIT担当者は1人だけ
・通常業務で手一杯で、セキュリティ運用まで手が回らない
というケースも珍しくありません。
こうした現実的な制約を考慮しないセキュリティ対策は、結局のところ、
「導入したが誰もきちんと見ていない」
「ルールはあるが運用されていない」
といった“形だけの対策”に終わってしまいます。
本当に必要なのは、
現場の人数やスキルに合った、“続けられる対策”
です。
■まとめ 〜“運用まで任せられる”体制づくりを、一歩ずつ〜
ランサムウェア対策は、もはや“製品を入れて終わり”ではありません。
・攻撃手法の高度化により、「常時監視」と「迅速な対応」が必須に
・EDR・MDRは強力だが、コストや運用のハードルがネックになりやすい
・中小企業や専任不在の現場では、「続けられる仕組み」を選ぶことが何より重要
だからこそ、導入しやすく、運用まで任せられる仕組みを選ぶことが、
会社をランサムウェアから守るうえでの現実的な解決策になります。